北九州市小倉北区のあすなろ内科クリニック

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肝臓病について

【1】肝臓病こそ生活習慣病のトップ

人間ドックや健診の結果調査によりますと高コレステロール、肥満、高血圧などの異常よりも肝機能異常を指摘される人の方が多いというデータがあります。
肝機能異常の原因としてまず考えられるのが脂肪肝です。従来脂肪肝は、肥満、糖尿病、飲酒が主な原因でしたが、最近はそれらがなくても食生活の欧米化、ファーストフード嗜好に伴い急速に増加しています。今まで日本の医療機関では脂肪肝そのものはあまり重要視されない傾向にありましたが、最近になり一部の脂肪肝で重篤な経過をとることが判明して注目を浴びています。

■ 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)とは?
お酒をたくさん飲まないにもかかわらず、アルコール性肝障害に似た炎症を伴う脂肪肝のことです。普通の脂肪肝で亡くなることはありませんが、NASHは肝硬変や肝癌になることがあり区別する必要があります。肝機能障害に糖尿病、肥満、高血圧のある人や胃腸の手術をしたことのある人は注意をする必要があります。

【2】ウイルス性肝炎について

肝炎の種別 病原ウイルス キャリア
の有無
肝癌
との関係
備 考
伝染性肝炎
(経口感染)
A型ウイルス肝炎
(HAV)
冬から春にかけて
散発的発生あり
E型ウイルス肝炎
(HEV)
主として輸入感染例
食肉(シカ,イノシシ)から感染
B型ウイルス肝炎
(HBV)
持続感染者(キャリア)が存在
母子感染予防が重要
血清肝炎
(血液感染)
C型ウイルス肝炎
(HCV)
持続感染者(キャリア)が存在
肝癌増加の原因
D型ウイルス肝炎
(HDV)
(?) HBV感染者に重複感染
わが国では感染者はごく少数

●肝癌の原因
[日本肝臓学会:肝癌白書より]

【3】C型肝炎について

日本(特に福岡県、佐賀県)はC型肝炎ウイルス感染患者がたいへん多く、慢性肝臓病の主要原因になっています。
最近は肝癌で亡くなる患者様が増加しており、そのほとんどはC型肝炎が原因です。現在、肝臓癌は国民病ともいわれており、国と学会が全国的に肝癌撲滅運動を展開しています。
ここ数年、C型肝炎の治療には、インターフェロン治療にかわって飲み薬の治療法、即ち、インターフェロンフリー治療法が使われるようになりました。患者様の病態、他の持病、併用注意、禁忌薬などを勘案して使い分けられています。治療期間も8~12週間であります。また、ウイルスのジェノタイプ1型、2型などそれぞれに適合するのを選んで使用することになっています。しかし、治療後、C型肝炎ウイルスが消えたとしても、肝癌の発生がゼロになるわけではなく、4~5%程度あることも知っておいていただきたい事実です。特に、高齢の男性で、慢性肝炎から肝硬変に進んでいる状態の方はどうしても発癌しやすいといわれていますので、C型肝炎治療後も、丁寧に時間をかけて経過観察を行っていきます。

【4】肝臓癌について

大切なことはエコーとCT検査を定期的に行い早期に発見することです。
肝癌の治療の進歩も目ざましく、局所治療として以前は肝臓内に針を刺してアルコールを注入する事が多かったのですが今はラジオ波で焼く治療に変わってきています。この方法によりまた少ない回数で治療できるようになり患者様の負担が小さくなりました。

■ 肝臓疾患の食事療法について
従来、C型慢性肝炎の患者様には高蛋白・高カロリーの食事がすすめられてきましたが、患者様の肝臓には鉄が過剰に貯まって肝障害を引き起こすことがわかりました。血を抜いて体から鉄を減らして肝機能を下げる治療もあります。(瀉血治療)食事も鉄分の多い食品を多くとることはすすめられません。
牛肉やマグロなど動物性蛋白質、ほうれん草、ひじきなどは摂り過ぎないようにしましょう。